リースよりもレンタルがお得。法人向けパソコンのかしこい導入方法! 2020.08.27

多くの会社ではパソコンの導入をリースでおこなわれていますが、実は現在ではレンタルがお得で財務面・効率面も望ましいという結果が出ております。
リースでの導入はパソコンに限らず、様々なモノで取り扱われています。しかし近年では減少傾向にあるようです。
1991年度には歴代最高の取扱高8兆8,016億円を記録しておりますが、2008年にリースメリット減少する会計基準が施行されたことで取扱高が激減し、2019年度の取扱高は5兆3,331億円となっています。
リース取扱高 公益社団法人リース事業協会-min

一方でレンタルはサブスクリプション(サブスク)というワードでも賑わいをみせており、成長中の新たな購入方法になっています。レンタルサービスは昔からありましたが、”商品やサービスを所有するから、必要な時だけ利用する゛ことへライフスタイルの変化がおこったことで、ニーズがマッチしたといえます。
その様な人気が高まるレンタルサービスですが、法人向けのパソコンにおいて、レンタルが望ましい理由を解説していきます。

法人向けのパソコンにおいてレンタルが望ましい理由

そもそもパソコンのリースって、いったいなに?

法人向けのパソコン導入において検討する際に、リースで検討をおこなう方が多いのではないでしょうか?
しかし、ふと考えると「レンタル」と何が違うの?と疑問を抱く方も少ないと思います。
Webで探してみるとリースとレンタルの違いについてまとめたサイトは数多くあります。
しかし、その多くが以下のような結果を表にしてまとめたシンプルなものばかりで、何故そうなるのかという骨の部分に触れたサイトは見当たりませんでした。

リース、レンタル、購入の比較表

今回、その骨の部分をご説明すると同時に、例えば、どのサイトにも書いてある「リースは解約料金が高い」という内容がありましたが、なぜ高いのか等を分かりやすくご説明していきます。

また比較対象として、レンタルとの違いも交えてお伝えしていきます。

-1-パソコンリースとは何か

リースとは何か

法人企業が設備となる「モノ」を調達する際の手段として活用されているリース契約。
購入となると会社の現金は一時的にも目減りしてしまうので、分割で支払うかたちが取れるのがリース契約ということになります。
リース契約での導入例として、よくあるのは弊社も取扱うパソコン、その他にも事務機器となるコピー機・複合機、家具、コロナ対策用の器材等が上げられます。
これらは高額になればなるほど、分割払いにより会社の現金貯蓄を下げることなく、導入がおこなえるため利用価値があるとみられ、営業活動で必要な自動車や、製造業(メーカー)等では産業機械や工作機械、重機等もリース契約の対象商品になることもあります。

※補足解説
リース契約の期間は、依頼企業とリース会社の協議によって、通常3年~7年の間で決められます。
しかし、リース物件の法定耐用年数により、税務上の適正リース期間が定められているため、無制限に契約期間を定めることは出来ません。
原則としては、物件の法定耐用年数の70%以上となり、10年以上の法定耐用年数の物件については、60%以上となります。
例えば、パソコンの場合では法定耐用年数が4年間、お定められております。

詳しくは減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表よりご参照下さい。一旦簡単に計算をしてみたい、という方は税務上の適正リース期間をご覧ください。

-2-リース会社は在庫を持たない

ここでレンタルとリースの違いですが、とても大きな違いとして、リース会社は物品を在庫しておらず、レンタル会社は在庫している、ということがあります。
レンタル会社から物品の導入をおこなう場合は当該会社の在庫からユーザーが選ぶ事になります。よって品は中古品である可能性が高いです。
リース会社の場合は在庫していません。ユーザーが希望する品をリース会社が小売り業や製造業(メーカー)から調達して、リース手数料をのせた金額でお客様に提供するという仕組みです。

-3-リース会社の存在意義

リース契約

小売り業や製造業(メーカー)が分割での支払いに対応(割賦販売)すれば、リース会社を経由する必要がないと考えられますが、小売り業やメーカーが直接、割賦販売のプランを提示するというのは少ないようです。
なぜ、小売り業や製造業(メーカー)が対応していないかというと、万が一お客様の資金繰りが悪化した場合、支払いが滞ることになり、長期間での支払いをおこなう場合は販売リスクが高いからと考えられます。その販売リスクとしては以下の3つが大きいようです。

1つ目:なぜ直接取引による割賦販売ではなくリースでの提供になるのか?

提供企業からすると割賦販売はお金の先出となり、その販売リスクを負ってまで、取り組むとなるとお客様が支払えない場合の回収方法や各種保険の整備、物品の製造・調達資金が先出となるため資金繰り等を考慮しなければならず、事業の複雑化は避けられないと想定されます。

2つ目:割賦販売・リースでは代金回収業務があり、負のイメージをもたれる?

仮に割賦販売をおこなえたとして、お客様側のお支払が滞った場合、小売り企業あるいは製造企業の社員が代金回収業務をおこなった場合、ブランドイメージが悪くなることも予想されます。割賦販売の契約があったとしても、周囲からみると代金回収業務は言い換えると「取り立て」となり、良いイメージが湧きません。
小売り業や製造業(メーカー)はブランドイメージを傷つけられると致命傷ともいえるため、自社での割賦販売は避けた方が望ましいという判断になると考えられます。

3つ目:割賦販売は結果として新商品と競合する場合がある?

それでも小売り業や製造業(メーカー)は販売することが重要と考え、割賦販売をおこなったとした場合、一定のお客様では支払いが滞り、代金回収がおこなえず、対象物品(機器)の返却(回収)をおこなうことが出来るケースも想定されます。
その場合、返却(回収)物品は中古品としての扱いとなるため、メンテナンスをおこない、再度販売できる状態にリペアをおこなう必要があります。自社でつくる新商品と競合する可能性や中古販売出来なかった場合の在庫リスク等もあげられます。発展的にとらえれば、新たにレンタル事業の展開もおこなうこともできますが、いずれも自社の新商品と競合することになります。その結果、何といっても利益率が低くなる可能性が高いです。
上記の3種がリスクと考えられるため、小売り業や製造業(メーカー)において分割での支払いに対応(割賦販売)しているところは少ないようです。
しかし、お客様側のニーズとして、費用を押さえたい、キャッシュアウトを押さえたいというニーズもあるため、中間の事業として生まれたのがリース業となります。

-4-リース契約を中途解約する場合は違約金(解約金)が発生する

リース会社はお客様の求めに応じて、小売り業や製造業(メーカー)から要望となる物品の購入を進めていきます。
その為、お客様とリース契約を取り結ぶかたちになりますが、取決め事項として契約期間が重要になります。この期間で支払い金額を案分していきますので、中途での解約は原則として認められません。仮に中途で解約をおこなう場合は、リース手数料を含めた総額を支払うことになり、手数料分が違約金(解約金)となります。
事業展開上、リース契約で導入した物品が不要になるケースもあるかと思います。物品が不要になるケースも考慮すると、リース契約における違約金(解約金)はリスクと考えられます。
ここで、レンタルとの比較をお伝えすると、レンタルサービスでも違約金(解約金)は発生しますが、レンタル契約で取り結ぶ残期間にかけた金額あるいはレンタル会社が決めた一定の規定額となります。リースの途中解約に比べ、レンタルでは短期間となるため、リスクは低いと考えられます。そもそも解約はできないといっているリースサービスより、解約できる事が前提である、レンタルサービスの方が対応は柔軟と考えられます。

リース取引に関する会計処理の概要

高額になればなるほど、複雑で分かり辛く、税金等も気にしなければいけない会計処理…。
リース契約で取り結ぶものといったら、設備関連が中心となるため、高額になって当たりまえ。会計処理についても正確に理解しておかないと、メリット・デメリットを説明できない。そもそも社会人の素養として、ビジネスマンとしても知っておきたいところです。
出来る限り、分かりやすく解説していきます。

-1-リース契約の種類とその違いついて

リース契約は以下の3タイプがあります。

種類 名称 概要説明 中途解約 契約期間終了後
物品(資産) 買取費用
ファイナンスリース
取引
所有権移転
ファイナンスリース
カネを借りて、モノを買って、使いながら返済する NG もらえる 不要
所有権移転
ファイナンスリース
NG もらえない 必要
オペレーティングリース
取引
オペレーティングリース 誰かから借りているだけ
(レンタル契約と同義)
OK もらえない 必要

よくあるご質問のなかでは「オペレーティングリースとレンタルは何が違うの?」というものがあるのですが、実際は言い方が異なるだけで異なる点は特にありません。しいて言えば、契約期間が短いことや、オペレーティングリース取引は発注者(お客様)の希望や指示に合わせて対象となる物品を手配しますが、レンタルでは貸主側(レンタル業者)が仕様に応じたものをレンタルするという内容で、詳細な物品に関する決定権があるかないかの違いになります。
リース契約における会計処理の違いについては「ファイナンス・リース取引」が中心となりますので、こちらの説明をさせていただきます。
非常にざっくりした参考値ですが、なんからの設備を導入する際の物品(資産)価格を500万円したとして、5年間で60回の支払いで進めようとした場合、手数料率は想定ですが以下のようになります。

サンプル:対象物品および契約期間 リース支払総額
物品価格 ¥5,000,000 所有権移転
ファイナンスリース
所有権移転
ファイナンスリース
オペレーティング
支払期間 5年間 手数料率 10.00% 5.00% 12.20%
支払回数 60回 支払総額 ¥5,500,000 ¥5,250,000 ¥5,610,000
種類 名称 減価償却費 リース資産 債務返済 利率 利息 現金支出
ファイナンスリース
取引
所有権移転
ファイナンスリース
¥1,000,000 ¥1,000,000 ¥83,333 10.00% ¥9,167 ¥92,500
所有権移転
ファイナンスリース
¥1,000,000 ¥1,000,000 ¥83,333 5.00% ¥4,375 ¥87,708
オペレーティングリース
取引
オペレーティングリース ¥0 ¥0 ¥83,333 12.20% ¥11,407 ¥94,740

■取得時には

種類 名称 リース資産 リース債務
ファイナンスリース取引 所有権移転ファイナンスリース ¥5,000,000 ¥5,000,000
所有権移転ファイナンスリース ¥5,000,000 ¥5,000,000
オペレーティングリース取引 オペレーティングリース ¥0 ¥0

会計処理上、重要になるのが「減価償却費」と「リース資産」の部分になります。

-2-減価償却は分割して形状すること!

難しい話になりますが、まず減価償却費とは何を説明させていただきます。

長期的に利用することが想定されるパソコンや事務機器等の設備を導入する場合、高額となりますので、購入代金を、購入した年に一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことをいいます。
その様な設備については「年月が経つことによって劣化したり性能が落ちたりしてその価値が減っていく固定資産は毎年一定額や一定の割合で、分割して費用にしましょう」という考えがあります。
減価償却資産の耐用年数は国で定められており、パソコンの場合では法定耐用年数が4年間となっており、物品(設備)によってそれぞれ異なります。
詳しくは減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表よりご参照下さい。

減価償却資産は課税対象となり、設備を保有することで「税金」が発生するものになります。
償却資産税の税率は1.4%です。金額の大小にもよりますが、少なからず支出していくことには変わりはないので、もったいないです。

-3-リース資産とリース債務とは「借金」?

次にリース資産とリース債務についてです。
こちらは導入にあたってのリース取引でお客様側に生じる負債金額をいいます。
お客様はリース物件とこれに係る債務をリース資産とリース債務として財務諸表に計上することになります。
リース債務は、貸借対照表日後1年以内に支払の期限が到来するものは流動負債に属するものとし、貸借対照表日後1年を超えて支払の期限が到来するものは固定負債に属するものとします。
言い換えると「借金」として財務諸表上には記載されることになります。
その場合、想定されることとしては銀行借り入れをおこなう場合、貸借対象をみて判断されることもあるため、経営状態の良し悪しをみられる際にポジティブには働かないと想定されます。短期的なキャッシュアウトを考慮すると望ましいですが、長期的にみると課題要素は排除しておきたいものです。

-4-リース契約における会計処理について

on balance(オンバランス)、off balance(オフバランス)、という会計用語をご存知でしょうか?
ここで使われているBalanceとはバランスシート、貸借対照表の事です。企業の財務諸表の一部で会社の資産、負債、純資産が一目でわかるものです。株主、取引先、金融機関は貸借対照表を確認することで、企業の経営状況について判断をおこないます。
オンバランスとは、貸借対照表に会社の資産を計上(オン)する、オフバランスとはその逆で未計上(オフ)のままにおく、という意味で使われています。

会社の会計・経理処理では出来るだけ限り、経営状況を良くみせられるようにオフバランス化を進めていきます。事業の運営・成長の阻害要因となる部分は出来る限り避けて、経営状況を良好な状態にしておくことにで、外部からの評価を得ていきます。
これにより、事業発展を目指す際の資金借入等を優位に進めていく施策の1つになり得ます。
設備関連の導入において、リースによる取り組みでは前項でも取り上げている通り、財務諸表上は負債として計上されます。
導入する設備にもよりますが、出来るだけ避けて通る方が望ましいと考えられます。

-5-リース契約とレンタル契約の会計処理の違い

リースで導入した設備・機器は貸借対照表に会社の資産として計上され、リース債務は負債として取り扱われます。一方で、レンタルで導入する場合はレンタル料金を費用として計上するのみとなり、資産計上はされず経費処理のみで会計は済みます。
無駄な課税はされず、貸借対照表上も健全な状態を担保出来ます。
ここで設備・機器におけるリース、レンタル、購入の各導入方法における比較表をお伝えします。

項目 レンタル リース 購入
短期契約 ×
修理対応、保守 × ×
新品、メーカー指定 ×
途中解約 ×
破棄対応 ×
会計処理 オフバランス
経費処理
オンバランス
資産計上
オンバランス
資産計上

設備・機器のものにもよりますが、故障期間中の代替物品について考慮されていないケースもあります。レンタルの場合は、提供企業や内容によっても異なりますが、代替物品が用意されていることや、故障においても保険でカバーされる場合が高いです。メリット・デメリットを比較した際に、気になるところは修理及び保守対応が上げられます。リース会社もメーカー企業の保証はついていますが、故障の内容によっては保証対応外となり、費用の負担はお客様になる場合があります。
ちなみに弊社の法人向けレンタルPCでは故障した場合、代替機を2日で送り、故障はものによっては無償交換とさせていただいております。
利便性を含めたリースとレンタルの比較をおこなってみました。

レンタル リース
メリット デメリット メリット デメリット
期間を自由に選べる(一日から可能) 3~5年の間ならリースとの料金は拮抗するが、それ以上の利用はレンタルの方が高くなる(短期向き) 自由に端末を選べる 解約できない
会計事務手続きが簡単(料金の支払い管理のみ。償却経理事務、固定資産税の申告・納付事務、損害保険の加入等事務手続きがいらない) 端末の選択肢が少ない 超長期利用なら安価に導入 利用の前に審査が必要(社歴の浅い会社だと利用できないこともある)
修繕保守はレンタル会社に任せられる 最新の機種を使える 実際に購入した方が安い
法定耐用年数の縛りが無いので機器の実寿命に応じた更新サイクルを自由に設定できる 保守・修繕義務はユーザーにある
パソコン経費の平準化(ばらつきのあるものを平均値に近づける事) 審査等もあるため、納期が遅い
期間によっては購入よりずっと安く済む
在庫しているから納期が早い

-6-法人企業がパソコンを導入検討するならリース・レンタルどっち?

法人向けのパソコンにおいてレンタルが望ましい理由

最終的なまとめですが、以下のような理由でレンタルが望ましいと考えられます
①短期間での納品
そもそも在庫している商品があるので、短期間で手配することができます。
②従業員増減に合わせられる
パソコンの場合、従業員に貸与するものなので入社・退職に合わせて増減をさせられるため、資産となるパソコンを眠らせることなく、コスト削減がおこなえます。
③パソコンの導入台数が多い場合は財務改善・経営健全化につながる
購入するわけではないので、多額のキャッシュアウトが発生するわけでもなく、リースのように負債計上されることもない。レンタルでは経費処理で進める事が出来るため、簡単に低額で導入を進める事ができます。
④故障・カスタマーサポートが充実
リースの場合、メーカーへの問合せから入るのでレスポンスが遅い可能性が高い。
購入の場合、メーカーは巨大企業になるのでカスタマーセンターへの連絡から実際の修理完了までの非常に長い。
レンタルでは、中小零細がおこなっていることが多く、気軽で内製でリペアをしているところがほとんどなので、対応が早いです。または代替機を届けてもらえます。

最後が宣伝のようになりましたが、パソコンの導入検討・パソコンのリースとレンタルの違いについてお調べされている方の参考になれば幸いです。
長文をご覧いただき、ありがとうございました。