パソコン導入時の選択┃購入,リース,レンタルの違い 2020.08.27

目次
そもそもリースって一体何?
リースとレンタルの違いについてまとめたサイトは数多くあります。
しかし、その多くが結果を表にしてまとめたシンプルなものばかりで、何故そうなるのかという骨の部分に触れたサイトはあまりありませんでした。
今回、その骨の部分をご説明したいと思います。例えばどのサイトにもリースは解約が高い、とありますが何故高いのかご存知でしょうか。
リースの成り立ち、仕組みについてまとめました。
リースとは何か
複合機に車にPC、他にもテーブルや椅子その多什器等リース契約は何でも受け入れますが、そもそもリースとは一体何なのでしょうか。
借りる、という事は分かってはいるけれどレンタルとはどう違うのか…?
リース会社は在庫を持たない
とても大きな違いとして、リース会社はリース品を在庫しておらず、レンタル会社は在庫している、というのがあります。
レンタル会社からレンタルする時は当該会社の在庫からユーザーが選ぶ事になります。よって品は中古品である可能性が高いです。
リース会社の場合は在庫していません。ユーザーが希望する品をリース会社がメーカーから調達してそれに色をつけた額でユーザーに貸す、という仕組みです。
何故その様な手間をかけねばならないのでしょうか。一度リース会社を挟む理由は何でしょうか。
リース会社の存在意義
それは、多くの場合メーカーは割賦販売を受け入れない、という事に帰結します。何故受け入れないのかというと、万が一ユーザーが財政破綻し割賦支払いを終えれなくなった時のリスクが高いからです。
ユーザー側が責任を持って全額払ってくれれば良いのですが、振る袖が無い時人はどこまで真摯に対応できるでしょうか。
恐らく、逃げてしまう経営者は少なくないでしょう。その時、機器を返してくれればまだいいのですが返ってこないやも知れませんし、返ってきたとしてもそれは中古品です。改めてメンテナンスしたとしても新品として再度販売することはできないでしょう。
結局手元には資産価値の下がった機器が残り、その損害額を補填してくれる人はいないのです。その様なリスクを負ってまで割賦販売をするメーカーは果たしてどれだけあるのでしょうか。
しかし、ユーザー側は割賦で購入したいと思うのが自然でしょう。その両者の気持ちを汲み取った結果生まれたのがリース会社です。リース会社が機器をメーカーより購入し、それをひと月幾らでユーザーに貸します。
上記に書いた通り、レンタル会社とリース会社の大きな違いの一つは品を在庫しているかどうかです。それがどうユーザーに影響するのか、という点については解約金が発生するか否か、という事になるでしょう。
解約金が発生する理由
リース会社はわざわざユーザーの為にメーカーから希望する機器を購入しているのです。その購入額全額回収はリース会社のマストです。よって途中解約は認められませんし、無理に解約するなら機器の購入費及びリース費が解約金となるでしょう。解約タイミングにもよりますがその金額は消して安くは無い筈です。
レンタルの場合も解約金は発生しますがそれは機器の購入費ではありません。それは残期間にかけた金額あるいはレンタル会社が決めた一定の規定額でしょう。リースの途中解約に比べ抑えた額でしょうし、そもそも解約はできないと言っているリース会社よりはできる事が前提であるレンタル会社の方が対応は柔軟です。
会計処理について
次点の大きな違いは会計処理です。
皆さんはon balance(オンバランス)、off balance(オフバランス)、という言葉を知っているでしょうか。
Balanceとはバランスシート、貸借対照表の事です。企業の財務諸表の一部で会社の資産、負債、純資産が一目でわかります。株主、取引先、金融機関はバランスシートを確認することによって当該企業の財務状況について判断ができます。
オンバランスとは、貸借対照表に会社の資産を計上(オン)する、オフバランスとはその逆で未計上(オフ)のままにおく、という事です。
企業はオフバランス化が目的です。何故かというと、企業の目的とは関係の無い資産や良く思われない資産、負債を計上しない事により貸借対照表が整理されて無駄無く見えます。
それにより純資産利益率が改善し、少ない資産で利益を得ている、効率よく経営しているとみなされ安定した企業だとイメージアップに繋がります。そうなれば資金繰りもスムーズになり運営がより良くなるでしょう。
会計上のリースとレンタルの違い
リースした機器はオンバランスです。資産として計上します。しかし、レンタルの場合はあくまでレンタルした料金を費用として計上するだけ、即ちオフバランスです。
また、リースした機器の月額料金も減価償却費という形で費用として計上されますが、リースの場合は法定耐用年数の縛りがあります。例えば、12万円のPCをリース契約したとします。耐用年数4年で計算するならば1年につき3万円減価償却できますが、その法定耐用年数が6年だとすると、減価償却費は1年で2万円、即ち損金になるのは3万の内2万まで、という縛りが発生します。
レンタルならばレンタル料金全額損金です。上記と同額、同条件の場合年間3万円が損金になります。
貸借対照表への影響、節税の観点から見るとレンタルの方がユーザーにとってはメリットが多いと言えるでしょう。
その他リースとレンタルの違い
まとめた2点の他にも違いはありますのでそちらについてまとめました。
項目 |
レンタル |
リース |
購入 |
短期契約 |
〇 |
× |
– |
修理対応、保守 |
〇 |
× |
× |
新品、メーカー指定 |
× |
〇 |
〇 |
途中解約 |
〇 |
× |
– |
破棄対応 |
〇 |
〇 |
× |
会計処理 |
オフバランス |
オンバランス |
オンバランス |
気になる点としては修理及び保守対応でしょう。リース会社もメーカー保証はついていますが故障時に連絡をするのはユーザーです。その際保証対応外となった場合費用もユーザーが持ちます。しかし、レンタルの場合はレンタル会社へ連絡をすればそれですみます。
故障していたとして修理もしくは別機器への交換は無償です。
メリット・デメリットまとめ
レンタルメリット
- 期間を自由に選べる(一日から可能)
- 会計事務手続きが簡単(料金の支払い管理のみ。償却経理事務、固定資産税の申告・納付事務、損害保険の加入等事務手続きがいらない)
- 修繕保守はレンタル会社に任せられる
- 法定耐用年数の縛りが無いので機器の実寿命に応じた更新サイクルを自由に設定できる
- パソコン経費の平準化(ばらつきのあるものを平均値に近づける事)
- 期間によっては購入よりずっと安く済む
リースメリット
- 自由に端末を選べる
- 長期利用ならリースの方がレンタルより安い
- 最新の機種を使える
レンタルデメリット
- 3~5年の間ならリースとの料金は拮抗するが、それ以上の利用はレンタルの方が高くなる(短期向き)
- 端末の選択肢が少ない
リースデメリット
- 解約できない
- 利用の前に審査が必要(社歴の浅い会社だと利用できないこともある)
- 実際に購入した方が安い
- 保守・修繕義務はユーザーにある
まとめ
- レンタルは解約金がリースより安い、それはレンタル会社が機器を在庫しているから
- レンタルだと、オフバランス化ができ、節税もできる
- 5~10年と長期契約ならばリースの方が経済的だがそれ以外の点においてレンタルの方がメリット多数
契約期間を慎重に見極め、どの手法が最も合理的か判断の一助になれば幸いです。